Amazon プライムで配信中の「誰かが、見ている」を見ました。
監督・脚本は三谷幸喜、主演は香取慎吾。ちょっとヌケている舎人真一を可愛く演じています。隣人の粕谷次郎(佐藤二朗)は、すでに空いていた部屋の壁の穴から、真一の様子を見て、あまりにも面白いので、いけないと思いつつ、覗くをのやめられないでいます。
それを娘(山本千尋)に見つかって、いよいよ穴をふさがないといけない…と思っていたら、娘は真一の様子のあまりの面白さに「これはみんなと共有しないともったいないよ!」と止めるどころか、ネット配信をし始めてしまう…。
無垢なダメ人間の面白さは、隣人によって発見される
とにかく、香取慎吾は天然の不器用さで、いつも困っている舎人真一の愛らしいキャラをうまーく演じてましたね。嫌味がなく危なげなく、笑えました。
彼だけだったら、寂しいけど、ちゃんと彼女もいるんです。
しらない役者さんだったけど、彼女のソト子さん(宮澤エマ)はアメリカンな風貌で、全体にアメリカンなセットなのでぴったりでしたね。きっちりとした性格で、ダメダメな真一を支えてくれる人。
隣の部屋との穴から見ている粕谷父娘も、爆笑しつつも、二人がうまくいくようにと願っているんです。でも勝手にネットに配信したらだめじゃん!なんですけどね。
仕事を転々としている舎人真一の映像は…
家にいるときの真一の映像は、隣人の粕谷父娘が配信しているというのは分かるのですが、外で仕事をしている真一の面白動画を、世界中の人が見て、楽しんでいるというシーンが入ります。
たとえば山で遭難しかかった人が、その映像をみて寝ないですんだとか、いじめられている子が笑顔になったとか、それが世界のいろいろな場所で行われているのです。真一のヘマが、多くの人を笑いで救っている…というシーンなのですが、それを撮影して配信したのは誰なの?
その疑問が、ちょっと、私には解けないので、ひっかかりますね。
香取慎吾を世界的なコメディアンに
このドラマの野望は、香取慎吾を世界的なコメディアンにすることなのでしょうか。ありえると思いますけどね。
英語で翻訳されたらいいのでは。
多分、佐藤二朗も世界でわかりやすくコメディアンに見えると思うし。
夏木マリがいいですね
舎人真一の母は、夏木マリが演じてます。それがめっちゃ笑える。佐藤二朗との掛け合いとか。怪しさ満載。
久しぶりに息子を訪ねて来た母は、粕谷氏から、息子が勝手に盗撮されて、動画配信されていると聞いても、怒るどころか、収入を分け合うことで、納得し、訴訟せずに和解。地方でガソリンスタンドを経営しているという母。たくましいです。
でもちょっと不気味
なんだろう・・・でもちょっと不気味なんですよね。「誰かが、見ている」というタイトルも、やたらに描かれる目のマークも。
「舎人真一の天然劇場」とか、そんな陽気なタイトルじゃダメなの?
「何をやっても僕はダメだ」と落ち込んでいる真一くんが、「常に誰かに見られている」っていう言い方、ちょっと怖い。「トゥルーマンショー」っていう映画みたいなことだけども、あれでも、主人公は傷ついていたよね。
やっぱり、自ら発信するのはいいと思うけれども、勝手に撮ってそれをネットにあげるというのはブラックすぎないですかね。
普通に、その場にいる人に笑いをふりまく真一が、ソト子さんに「そのままのあなたを世界に知ってもらいたいの!」と言われ、自らYouTuberになって自立する・・・というハッピーエンドになるのが、よいと思うんですよね。
そういうシンプルな世界観じゃダメなのかなあ・・・?