海辺から半歩下がって綴る《ドラマ・映画の話》

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ドラマ:知ってるワイフ 全話見終わった感想

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知っているワイフとは

2021年1~3月期フジテレビ系で放送された「知ってるワイフ」を見終わりました。おもしろかったですよ。タイムスリップして、過去に戻って自分を好きだといってくれた違う女性と結婚し、理想の夫婦生活をしようとする夫が、本当に幸せになれたのか。

韓国ドラマの日本版なんだって。そんなこととは露知らず、広瀬アリスさんと大倉忠義関ジャニ)さん主演のドラマを楽しみました。

 

ここからはネタバレです。

あらすじ

元春(大倉忠義)と澪(広瀬アリス)は結婚し、子宝にも恵まれた。しかし、生活は楽ではなく澪はバイトと子育てできりきり舞いしながら生活を回しているのだが、銀行員の夫、元春はあまり理解がなく、自分の仕事に手いっぱいで育児は澪に任せきり。澪がどうしてもお迎えに行けない事情があった日に、保育園へのお迎えを頼まれたけれど、そんなたまの依頼にもこたえられず、元春はお迎えを忘れて、澪に多大な迷惑をかけてしまう。

それ以外にも、あらゆる場面で、澪の気持ちやお願いを踏みにじる元春。怒り狂う澪。

鬼嫁のような澪との殺伐とした家庭にうんざりして、同僚の津山(松下洸平)に愚痴る元春。そんなとき、大学の後輩、沙也佳(瀧本美織)に再会し、「実は先輩のこと好きだったのにフラれた」と言われる。

「先輩をコンサートに誘ったのに、来てくれなかった」

その言葉で、自分が伴侶を選び間違えたのではないかと考え始める元春・・・。

 

そんなときちょうどよく、過去へ戻る方法を知る謎の男(生瀬勝彦)に出会い、元春は、沙也佳とコンサートに行く予定だった日に時間を戻すことに成功する。現実では、途中のバスで澪に出会ってしまい、コンサートに行けず、澪との縁が深まりのちに結婚するという流れになった・・・だから、この日を分岐点として、人生をやり直そうとしたんですね。

タイムスリップしてパラレルワールドに移行した元春は、バスに乗らずに、タクシーでコンサートに遅れずに行くことを選択する。(そのとき同僚の津山の人生を狂わせてしまうのだが・・・それは置いといて)

 

そのかいあって、元春は次の瞬間またタイムスリップし、目覚めると豪邸で沙也佳と結婚生活を送っている。(沙也佳はお嬢様。実家が大きな企業のオーナー)

しかし、結局のところ、パラレルワールドで本人がまったく別の人生をやり直そうとしても、縁のある人とは出会ってしまうというのが、このタイムスリップの特徴らしく、元の人生の結婚相手の澪が、会社の同僚として異動してきてしまうんですよね。

 

やり直しの人生で同僚になった元妻

さわやかに職場に登場した澪に動揺する元春。しかし澪は全然過去(というかパラレルワールドの人生)を忘れている。

何か嫌がらせをしに現れたのではないかと疑心暗鬼になる元春だが、ついつい澪をフォローしたりして、澪からの好感度は上がるばかり。(捨てた鬼嫁の気をひいてどうするんだ・・・)

一方澪も、明るくて、仕事熱心で、しっかり者なので、職場でも好感度が非常に高い存在。笑顔も愛らしく、同僚で友達の津山は、澪に好意を抱く。

それを知って、やめとけば・・・と言いたくなる元春。矛盾だよね。元春がタクシーを奪ったせいで、本来は結婚しているはずの津山の未来を狂わせたんだよ・・・。

澪だって、知り合った頃は、笑顔が可愛い、明るい女性だったわけで。「鬼嫁にしたのは俺なのか」と気づく元春。

元春は沙也佳のことも幸せにできない

お嬢様との結婚は美味しい話ばかりではなく、沙也佳さんはラグジュアリーな生活しかできない。元春の給料を当てにしないで豪遊している。(ショッピングしてきた日は部屋に高級ブランドの紙袋がいっぱい・・・)夕食も高級なステーキ肉を焼くとか・・・一事が万事その調子で、バイトして生活費を補填し、育児して髪振り乱して節約生活をしていた澪とは別世界の住人。なんの不自由もない生活なのだから、ご機嫌がよく、鬼嫁でないのも当たり前。

そして定期的に沙也佳の実家に呼ばれて食事をしなければならないし、そのときも肉から食べないと変な目で見られるし、沙也佳の父のパーティーなどは元春の母が入院していようとも絶対出席しなければならないなどの厳然たるルールがある。

元春の会社勤めにおいても義理の父の影響力が大きいので、沙也佳の家の都合優先で生きるのが当然と思われている世界なのだ。

元春の妹(川栄)などは、それが不満のようだが、元春もこっちの世界にタイムスリップしてきたらもう結婚していたので、「沙也佳優先でいく」と決心した覚えがなく、今まで当然に「俺中心」でいたので、逆らっているつもりもないままに逆らってしまい、「最近私の言う事きいてくれないのね」と沙也佳に思われているのに気づかない。

元春が澪を特別扱いするせいでだんだん沙也佳も笑顔でなくなっていくし、津山は真剣に澪のことを好きになるし、しかし、澪は元春のことが気になってしまうし・・・という、複雑な事態に・・。

さてどうなる・・・。

 

広瀬アリスらのキャストがよい!

このドラマにどんどん引き込まれた理由のひとつが、澪役の広瀬アリスの好演。鬼嫁時代の怒り爆発している様子とタイムスリップ後の並行世界での明るく健気な様子との差がよく表現できています。

関ジャニ大倉さんもドラマではあまり見たことなかったですが、元春のダメ感が自然でしたね。男の人にはありがちな無関心さで、妻の心づくしの家庭の工夫を見ていなかったり、悩んでいることをどうでもいいと思っている。それが不幸になる元だったりするんですよね。

松下洸平も普通なら澪と付き合うのにふさわしい人なのに、なかなかうまくいかない津山役が上手でしたね。一番かわいそうなのは津山でした。

元春の妹を演じた川栄李奈も良かったですし、澪の母役、片平なぎささんも、認知症という設定で、以前の世界の記憶を持っているという重要な役で印象に残りましたね。

過去に戻れる方法を伝授する謎の男、生瀬勝彦さんも悟ったようなでもどこか狂気をたたえた感じで、元春を翻弄するのにいい感じでした。

 

自分の過去に戻ってやり直すドラマは面白い?!

ドラえもん」でもよくのび太が過去に行って自分を助けたり、未来から自分が来て助けてくれたりしてましたけど、今回の「知ってるワイフ」では、元春は過去のある時点に戻って、そこから生きなおすんですよね。その世界で。自分が同時に二人いるという状態ではありません。過去を知っているまま生き直すチャンス到来なのです。それは面白くなりそう。
こういう設定は人気ジャンルです。

素敵な選TAXI」というドラマでも、分岐した地点まで戻って、もう一つの選択をして生きなおすことが可能でした。そのドラマでは、過去の自分の立て看板があるので、そこに自分を置き換えてから、生き直すということをしていたような。特別なタクシーに高額な乗車賃を払って時間移動するので、せいぜい30分とか数時間の移動なのですが、やり直せるというのは、面白いテーマです。

時をかける少女」(アニメ版)でも主人公は何度もタイムリープしてましたが、「知ってるワイフ」と同じで、そこには今来た自分だけが存在する。そこから生き直すタイプでした。ちょっとした友達との気まずさを回避しようとするために時間を戻す少女。気軽にタイムリープしてましたね。(でも回数制限はあったんですけどね)

そこで分かることは、結局人生は「選択」の連続だということ。

ひとつの間違った「選択」に気づいて過去まで戻ってやり直しても、またその先で経験していない未知の選択をする瞬間が来るので、またそこで間違ったら、理想の生活からはかけ離れてしまいます。

だからといって、そのたびごとにタイムスリップしてたら、本筋が分からなくなってしまいそう。失敗したらすぐ時間を戻れるっていうのも、生きづらいものなんではないでしょうか。

「真剣に生きる道を選ぶ」ということも、なくなってしまいそうですし、そうなると、誰もがバラバラのパラレルワールドに生きて、自分を成功させよう(失敗のない人生を歩もう)とやっきになっていってしまいそう。究極、全人類それぞれが成功する世界がその人の数だけ存在するようになるのかもしれませんね。

今回の「知ってるワイフ」のラストでは、失敗した結婚を忘れないまま時を戻した二人が、初心に返って、互いを支えあいながら子育てして、円満に暮らす様子が描かれます。

タイムスリップは1回か2回が限度というのが、本筋の人生がわかっていいのかも。

縁のあった人との大切な関係が1回目の失敗で壊れてしまっても、もう1回くらいは時を戻してやり直せる・・・っていうのは、理想かもしれないですよね。

愛した人を幸せにしたいという気持ちが、澪にも元春にもあったから、経験したことが糧になって、幸せな結婚生活がよみがえった。

このストーリーに、視聴者は納得したと思う!ハッピーエンディングに乾杯。

#知ってるワイフ