海辺から半歩下がって綴る《ドラマ・映画の話》

海辺でのんびりするのも、本もドラマも映画も好き!つまらなくても、面白くても、見たままログ。

ドラマ:「半沢直樹」シーズン2<TBS日曜劇場>を見終わって

ドラマ:「半沢直樹」とは

ご存知のように2020年7月から9月にTBS日曜劇場枠で放送された、超人気ドラマです。

主演は、堺雅人

前作から7年ぶりの登板でしたが、ますます絶好調の46歳。半沢直樹になりきって、熱い演技を、濃い共演者に負けずに披露し、高視聴率(最終回32.7%)をたたき出しました。

出演者たちからも、NGを出さず、いつも自然体で、完ぺきだったと言われてましたね。よかったですね~。満足しました。

なぜこのドラマウケたの?

こんな銀行員いないってことは、みんな一応分かっているんです。だからこそ、激しいセリフの応酬に、「もっと言ったれ!」となるし、その言い方、やりすぎなのでは?というくらいが実にはまった。(とくに東京中央銀行の大和田常務・伊佐山専務・金融庁黒崎を演じた歌舞伎界の方々)どうせ、日々の会社員生活で自分は言わないからこそ、半沢が上司や政治家に啖呵切るなら、ガンガン切れ!と思うし、とことん戦えよ!と応援したくなるんですよね。

 面白かったなあと思うポイント

・物語が勧善懲悪で敵がつど大きくなっていく

序盤では証券会社に出向していた半沢、ある会社(社長は尾上松也。ここも歌舞伎界)の買収に関して東京中央銀行本社の営業部に妨害されていたが、成功させ、証券の社員たちにやる気を与え、銀行に戻ってきた。

戻ってからの任務では、国土交通大臣に盾ついて帝国航空の債権放棄を拒否。メインバンクでもないのにと言われつつも、放棄拒否を貫いた。さらに、大臣も恐れる大物政治家の圧力にも屈さず、悪事を暴き、頭取に一歩近づく・・・という、不利な状況にあっても、敵が大物であっても、庶民の立場で踏ん張って勝っていく物語なのだ。

 

・セリフがキャッチ―

半沢と言えばこのセリフ「やれたら、やり返す倍返しだ」に始まって、さまざまな決めゼリフがあるのが特色。

 

今回もさまざまなメモリアルなセリフがありました。

第2話「君はもうおしまいです。お、し、ま、い、death!」と振りつきで半沢に挑発してきたのは、因縁の相手、大和田常務(香川照之)。飛ばしてます。

さらに伊佐山部長(市川猿之助)も歌舞伎の悪役の乗りで「詫びろー、詫びろ、詫びろ、詫びろ、ハンザワー!!」と叫ぶし・・・。これは豊田議員の「このハゲー!」的なパワハラ感を感じましたね。

しかし半沢この伊佐山に冷たく言い放つ。「ゴミ扱いしているのではありません。ゴミだと申し上げているのです」。

そういいながら、目を細める堺雅人~。いいですよね~。これが半沢クオリティ。

第5話「まるで赤ん坊ですね、あなたおいくつですか」「あなたからは腐った肉の臭いがする!」というキツイ言葉を半沢に投げつけられたのは、だれだったっけ。帝国航空の財務の人だったか・・・。さすがに日常の社会人生活でそれは言わないよねと思いつつも、冷徹に言い切る半沢に震撼。記憶に残るパワーワードだった。

第7話「さあ、さあ…、さあさあさあっ!」。

これ、字だけではリズムが伝わりにくいですが、審査部ソネザキを問い詰める半沢と大和田常務の掛け合い。ほとんど歌舞伎。いやー笑った。面白い。

息がぴったりですね。昨日の敵は今日の友という感じ?

その前に、大和田に「人にものを頼むときの大切な7文字を忘れている!」と言われ、一応「おーねーがーいーしーまーすー」と半沢が頭を下げたっていうのもありますが・・・。まあ、同等の戦いをするよき理解者となっている様子が面白い。

 第9話「やられたらやり返す、倍……いや、3人まとめて1000倍返しだ!」。

これはド迫力の政界のドン箕部(榎本明)、半沢の勤める東京中央銀行の頭取(北大路欣也)、反目しあいながらももはやツーカーの仲の大和田常務の3人に向けて、半沢が放った言葉。

 第10話「この国で懸命に生きるすべての人に、心の底から詫びてください!!

庶民を代表する半沢を「小童ごときが・・・」と踏みつけにしている腐敗している政治家の代表のような箕部に対する、半沢の叫び。揺るがぬ証拠を突き付けて、箕部に土下座させたときの一言。

これを言える状況って、すごいですよね。

・濃いキャラたち

黒崎金融庁検査官。なぜかおネエキャラ。下の名前は呼ばれることはないが俊一。演じるのは片岡愛之助。優秀な検査官なのだが、半沢には一歩出し抜かれることが多い。シリーズ2では、第6話で半沢と再会したシーンが強烈な印象を残す。

調査のために本社に来た黒崎は、出迎える行員たちの中に半沢を見つけ「あなた、いたの?おかげでファイトまんまんよ!」と喜び、なにかと「なおき~」を連呼。いたく半沢がお気に入りの様子に、驚いた人も多かろう。ひかれてもおかしくないが、ここまでやる気ならいいんじゃないかという異例の支持を視聴者から獲得。

第8話で国税局に異動になるも、第9話「これから鬼の征伐に、助太刀するわよ、黒崎が♪」と歌いながら登場。半沢と共に大物政治家、箕部を追及する、実は正義の男。

愛之助さん、ここまでやっていいんですね官僚も。

 

伊佐山部長。演じるは市川猿之助。えーと、この人も濃いんですけれども、意外に出番は少なかったので、視聴者としてはその歌舞伎っぽいせりふ回しは、部長の役にひつようなのかどうか…という疑念が残っている。消化不良。

 

大和田常務。数々の名シーンを半沢と共に作った人物。半沢にとっては憎しみの対象のはずが、銀行を救うためになら手を結ぶこともあるという、因縁の相手。演じるのは、香川照之。この人の不機嫌顔は、まさに日本の親父って感じがする。

極端なへりくだり、の後の手のひら返しの高圧的態度など、相手と状況に応じて臨機応変に態度を変えることができるザッツサラリーマン。高給取りが板についた香川の演技で、ドラマにリアルさが出た。異常な圧のある顔芸も皆が待ち望むようになってしまったという、怪演的な名演技だった。

 

渡真利忍。半沢の同期で本社融資部所属。演じるのは及川光博。ミッチー。

困った時は、渡真利の携帯に電話すれば、いい情報が得られる・・・。そんな頼りになる情報通。裏設定によればシーズン1より出世して、結婚もしている。ミッチーなりには、きっと有力者の娘との結婚なのだろうと推察しているそうです。

だから、あんなに融通きかせて、あちこちで情報集めて、ひょうひょうとしてられるんですね。

 

紀本常務。ニューヨーク帰りのエリート行員。本社の不良債権回収担当常務。箕部に弱みを握られ、帝国航空の債権放棄拒否に激しく反対。その弱腰対応すぎるところを、半沢に怪しまれ、たくらみが暴かれてしまう。演じるのは、段田安則。任せて安心なベテラン俳優さんなので、濃いというのとは違うのかもしれませんけども、段田さんがいなかったら、画面がだいぶ薄くなったでしょうね。リアリティの密度があがりますよね。

 

富岡部長代理、通称富さん。もと半沢の上司で検査部にいる「東京中央銀行の生き字引」。検査部というところは、閑職らしいですが、半沢の尊敬する人物であり、中野渡頭取からも信頼されている様子。紀本常務の隠していた証拠を見つけ出すにあたって活躍。

演じたのは、浅野和之。この人の演技も濃いわけではないですが、数々の舞台で主役級を演じている役者さんですし、重要な役どころなのだろうと思ってみていたところ、やはり…という感じ。ドラマの格があがるって感じですよね。

 

忘れてはいけない、言わずと知れた中野渡頭取。半沢も大和田も押しているトップ。演じているのは北大路欣也その顔、その圧、その声・・・これ以上ないほどの納得の濃い存在感で、視聴者的には大満足。実際の銀行家の顔ってこういうタイプではないのだろうと思う反面、ドラマの上では、大正解でしょう。

 

 ・女性陣もがっちり固めている

まず、女将、智美。お疲れモードの男性銀行員が集って、愚痴をいったり、いたわってもらったりする小料理屋の和服の似合う女将。噂話を理解する力があるようなのだが、それは実はもと東京中央銀行の社員だったから。紀本常務(段田安則)となにか因縁ありそうな・・・。こういう店の美人女将に癒されたい!という夢を具現化したのは、井川遥だった。

それでもって半沢の奥さんのハナは上戸彩明るくてポジティブな奥さんでいいのですが、半沢さんてば、可愛い系を妻にして行きつけの店の美人女将とも・・・?っていうようなのは、全然ありません。色気のある話は「初芝電機」の島くんに任せておく・・・という感じ。半沢は仕事で忙しいみたいです。いつも本職は刑事なのでは?と思うくらい、捜査活動してる。現場100回ってわけでもないけど、あちこち動いてるから、ホントそういう時間はなさそうでした。二人の間の子供の話題は全然なかった気がしますし、ハナさんは、厳しい母の面を持たずに、常に可愛いい印象・・・。花屋で仕事をしていて、仕事人間の夫にあまりかまわれなくても気にしません。

 

敵対する大臣は江口のり子。薄幸そうな和風の顔立ち。いつもとちがうキャラに挑戦。役職がひとを作るっていうのと同じ。役者も、大臣をキャスティングされると風格が出る。よかったですよ。

コロナ禍をのりこえて行け!サラリーマンたち

ちょっと暑苦しいほどのハードワークの半沢ですが、やっぱり密で仕事をする日々が懐かしい…そんな世の中のサラリーマンの気持ちがこのドラマのヒットを支えたのかもしれません。1日も早く、コロナが明けて、サラリーマンたちが正々堂々居酒屋、飲み屋で、密に語りあう光景が戻ってくるといいなあと思います。