海辺から半歩下がって綴る《ドラマ・映画の話》

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橋本 愛・主演 ドラマ「家庭教師のトラコ」感想

「家庭教師のトラコ」とは

2022年7月からの日テレ系ドラマ。主演は、橋本愛さん(根津寅子役)です。

連続テレビ小説あまちゃん」(2013)足立ユイ役のイメージが強烈だった橋本愛さん。日テレ系のこの枠では、今回の脚本の遊川和彦さんの「同期のサクラ」(2019年)「35歳の少女」(2020年)にも出演していました。遊川和彦さんといえば、松嶋菜々子さんが主演を務めた「家政婦のミタ」(2011年) の脚本家でもあり、売れっ子というか、必ず面白くするというイメージの人。今回のドラマのタイトルもその流れを汲んでいるなあと感じます。タイトルを決めたのは、それらのドラマでタッグを組んでいる日テレ・大平太プロデューサーらしいですが。

きっと家族の在り方みたいなものを問う作品になっているだろうと予想して見始めました。そしてこの予想は裏切られることはなかったのです。

テーマは「お金の正しい使い方?」

新型コロナウイルス対策費に〇兆円、海外支援に〇億円……国家のお金の使い方もいろいろ話題になる現在、家庭教師のトラコ先生は、「授業料はそちらの言い値でOK!でも、授業のある日はお宅に泊まらせていただきます」というルールで、訪問する生徒さんに合わせて衣装を決めて現れるという特殊な指導方法をとっており、その指導の成果は100%合格!という凄腕。

厳選なる面談の結果、今期家庭教師先に選ばれた家庭の母親たちは、お金持ちの家庭の主婦・上原里美(鈴木保奈美さん)(子供は大学受験)、新聞社勤めのワーキングマザー中村真希(三村里江さん)(子供は小学校受験)、食堂を営む下山智代(板谷由夏さん)(子供は中学受験)の3名。トラコ先生は生徒たちに勉強は教えず、もっぱら「1万円の使い道」などを考えさせ、それぞれの家庭の抱える問題を解決しつつ、子供たちの学力も向上させていくのでした。

それでもテーマは「家族とは?」ネタバレありです!

ドラマ終盤に向かってトラコ先生の生い立ちというものが明らかになってきて、そもそも今回の家庭教師先の3家庭の母親たちは、トラコ先生にとって、ものすごく縁のある人だったことが分かってきます。

普通じゃないトラコ先生が、母親たちに励まされて、自分の幸せを考え始めるというところまで話は転がっていきます。やるとなったら徹底的にいくのが遊川流…。今回も中途半端には終わりませんでしたね。悪い人だったのかと思わせて、最後は子供たちに寄り添い、受験(一応受験生の家庭教師でもあった)をやり遂げたのはよかったです。

通り一遍の肩書をみれば恵まれている人でも、受験するにあたって、いろいろ問題山積しているのではないのでしょうか。それを背負って、人は受験するものというか、人生で大事なものは何なんだろうかと考えないで受験をしても意味ないでしょう?と問いかけるドラマです。無茶な展開も結構ありましたが、(勉強教えないでなぜこれまで合格率100%だったのか?ある家庭を崩壊させた気がするけどもそれでいいのか?など)最後は、トラコ先生の家族の問題も決着し、ハッピーエンドでしたね。頑張る庶民を幸せにするお金の使い方を、国の偉い人達に実践していただきたい…そんな気分にもなりました。

主演・橋本 愛さんについて

あまちゃんのころから、きりっとした美少女だけど、恋愛ものの連ドラの主役などはやっていないですよね。文学作品とか、ホラーとかSFとかそういうものが似合いそう。三島由紀夫原作の映画「美しい星」(2017)とか、よかった記憶。

今回、キャラをいくつも演じ分けているヒロインを演じるという設定で、結構出番も多く、見せ場もあったけれども、一つ間違うと「なんなん?」となりそうな役だったと思います。ひとつ大きなチャレンジでしたけど、可愛げないまま、愛される主人公になりきって、成功していたのではないでしょうか。

最近動画サイトで「木綿のハンカチーフ」をささやき声で歌ったり、いろんな面を披露してくれていて、橋本愛さん、結構注目されてません?と思います。なんていうか、きれいなだけでないようなところが魅力的。

共演の鈴木保奈美さん、板谷由夏さん、三村里江さんともバランスよく、子役の皆さんも上手で、そういう役者さんたちをまとめる主役パワーを橋本さんが発揮してたおかげで、最後まで楽しんでみることができました。

これから、年を重ねていくのが楽しみな女優さんですよね。頑張ってください~。