海辺から半歩下がって綴る《ドラマ・映画・本の話》

海辺でのんびりするのも、本もドラマも映画も好き!つまらなくても、面白くても、見たままログ。

′24春ドラマ 「イップス」バカリズム×篠原涼子 最終話までの感想

バカリズム×篠原涼子の異色コンビによる推理ドラマ

イップス」とは、2024年4月12日から6月21日までフジテレビ系で金曜夜9時に放送された連続ドラマです。最終回の第11話まで毎週欠かさず見ましたよ~!

なんだかんだで、設定としては面白いですよね。

敏腕刑事だったのに、犯人を追い詰めることができなくなってしまった刑事森野(バカリズム)と「歪な十字架」というヒット作以降、小説が書けなくなったミステリー作家黒羽ミコ(篠原涼子)が、毎回偶然にも事件に遭遇し、二人で弱点を補完しながら、事件を解決に導いていくというストーリー。

今回のバカリズムは出演者です。森野は、引きこもり的な刑事なのですが、後輩刑事に叱られていやいや捜査に参加する。すると、状況見分などから、怪しい点などを見抜くことはできるのだけど、いざ容疑者に「尋問」しようとすると、「イップス」(得意なことができなくなってしまっている状態)になり、腰砕けに。そこを現場に紛れ込んでいるタレント兼作家のミコ(篠原涼子)が好奇心旺盛に質問を引き継いで、証拠を集めていくんです。

おせっかいおばちゃん的なミコが、無気力森野から知恵を引き出し、捜査を進展させ、最後は二人で犯人逮捕へ。

毎回の推理以外に2人の「イップス」の原因となった事件が!

いくらテレビでタレント活動もしているとはいえ、現実的には、部外者のミコがそうそう事件の捜査に関わることはできないでしょうね。とはいえ、被害者発見などの重要参考人として、毎回現場に居合わせているので、森野の部下たちともすっかり顔見知りになってしまい、森野に密着取材中のミステリー作家ということで、大抵同席してるんですよね(笑)。

そもそも、森野と知り合いになったのは、ミコの小説を題材にした過去の事件があったためなのでした。森野はその担当刑事だったという縁があったんです。なおかつその事件のせいで、二人とも本業で「イップス」になってしまったという共通の悩みもあったので、森野とミコには、妙なきずなが生まれてしまったんですね。

最終回に向けて、そちらの過去の事件の「真犯人」も明らかになっていくのもこのドラマの面白さのひとつ。ミコの弟(染谷将太)も絡んだりしながら、犯人像がだんだんと浮かび上がってくるわけです。

こうした骨組みをふまえて、コミカルな会話などを楽しみつつ、最後までゆるゆると見てしまう感じの独特の世界ができあがっているドラマでしたね。

今回の脚本は誰なのかというと……

バカリズムではありません。オークラ、森ハヤシ、中園勇也という3人がに脚本家としてクレジットされていました。各話で脚本家が違います。オークラさんが担当した回が3人の中では多かったようですね。複数の脚本家が携わるということで、じっくり見比べれば、それぞれの個性というか傾向が分かるのではないかと思いつつ、そこまでは分析してないんですが。

そういうことができるのも、さっき書いたように、毎回違う事件があり、それを解決しつつ、もう一方で過去の事件の真犯人も突き止めていく…という、構成ができあがっているからですよね。

なぜに3人体制にしたのか…多分「制作時間がなかった」からではないのではないでしょうか。また、犯人のタイプのバリエーションが広がるということもあるのかも。一方で、主役キャラの雰囲気に違和感が…ということもありえますよね。

森野が部屋で変な柄のニットを着ていた…というのが印象に残っているのですが、そのキャラがずっと継承されていたかどうか、あまり記憶にないので、それが個人的には残念かな。毎回「え?」というような柄の私服を着てほしかったような…。

古畑任三郎再放送が同時期にあったのは意図的?

この5,6月、フジテレビでは田村正和さんの「古畑任三郎」シリーズを大規模再放送をしていましたね。あのキャラの完成度、誰もが真似したくなるあのしゃべり方、あの仕草…今見ても「ダンディー」。三谷幸喜さんの犯人の設定もわりと無茶な感じの回もあると言えばあるけれども、毎回豪華な配役で、飽きさせませんでした。それと若干被る「刑事もの」なだけに、「イップス」はその域には達していない…と不利に働いたりする感じ、ちょっとあったような気も…。

そんな逆風の中で、毎回楽しませてもらいました。バカリズムさん、篠原さん、ほか出演者の方々、スタッフの皆さん、お疲れさまでした!