海辺から半歩下がって綴る《ドラマ・映画の話》

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映画「花束みたいな恋をした」〜感想〜

心構えなく見始めたら、なんかすごい本格的な脚本じゃない?と引き込まれてしまい、久しぶりにホントのラブストーリーを見たような気分です。

以下、感想メモ〜ネタバレありです。

 

まず、攻殻機動隊押井守監督が出演しているシーンがあってびっくりしましたね。ある意味、押井さんがキューピッドみたいなものなので、重要。

後から調べてみたら、坂元裕二さんの脚本だった。なるほど。ディテールがいろいろリアルで、分かるよ、とか、違うよ、とか、その時同じように思ったよ、とか、思いがよぎるんですよね。さすが〜。

映画や漫画、音楽、小説を大切にする、菅田将暉演じる麦と有村架純演じる絹を、良い子だね、とか、だからなんなの、とか、甘いんだよ、とか、いろいろ言いたい人がいるんじゃないのかな。それは、素敵なラブストーリーだからだなのだと思います。2人の演技が自然だし。

最後、タイトルが過去形なので、分かるように恋は終わるんだけど、それが刺さる。なんて純粋な、というか、それが現実、とか、いろいろ受け止め方はあるけど、それは映画が、良く出来ているからだと思う。

 

「カルテット」「大豆田とわ子と三人の元夫」などでおなじみの坂元さんと同じく「カルテット」や「逃げるは恥だが役に立つ」などの土井裕泰監督があまりにリアルな2人を描いたので、ポップカルチャーの支持層がムカついてないか心配になるほどです。

でも、麦がクリエイターになれなかったからと言って、挫折して、虚しい人生だったのか?と言えばそうでもなく。

2021年公開で、2015〜2020年くらいまでのこの5年で失われたもの、ブレイクしたものなどいろいろあったし、変わってしまったものもたくさんあった事を思い出させてくれる。確かに流れた時間を取り戻すことはできないけど、何者にもなれないままに歳を重ねたことは、負けなのかな?

終わった恋をポジティブに言いたいという気持ちをタイトルに感じます。

花束みたいな、そんな恋があって、それは偶然にデジタル保存してあって、世界の中人にも公開されてる…幸せな恋人達として…というラストも良かったし。

わたしたちは、麦でもあり、絹でもあるのでしょうね。凡人らしく一生懸命に、生きてる。

ダメになった恋だけど、麦は結婚しようと言ったところが良いと思う。2人は結婚してもよかったのにね。

ありふれた、私達を、許してあげよう。そんな気分になりました。

 

<追記>

有村架純さん、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞受賞おめでとうございました!